長いこと建築の設計仕事をしているといろ
いろ慣れてくることが多い。新しいことに
いったん慣れるということは必要である。
しかし、パターン化して応用が利かないよう
な慣れ方はダメだ。
建築の設計の仕事の場合、こちらは何度
も設計するが、お客さん側から見ると一生
に一度でそれもはじめての体験である。
仕事に慣れてしまうと、ライブ感がなく
なるし打合せも平板なものになっていく。
経験は慣れとは異なる。新たなものに挑む
とき、より発展的に展開するために経験は
生きる。しかし、慣れはただただネガティブ
な方向にしか作用しない。
建築デザインというクリエイティブな仕事
やクライアントとの対話は、決して慣れて
はいけないことだ。いつも新鮮ではじめて
新しいことに取り組むような気持ちで対峙
しなければいけない。
そして、人生にも決して慣れてはいけない。