rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

類推する力


内田樹さんの本によると、ネアンデルタール人
と現人類の祖先クロマニヨン人の脳の構造には
大きな違いがあるらしい。前者は、ライオンが
来たから逃げる、獲物が近くにいるから捕まえ
る、といった1対1対応の思考しかできなかった
ものが、後者に至るとこの状況は前に経験した
あのことと似ているからこう行動しようといった
類推的思考ができるようになったらしい。


当たり前のことだが、まったくの無からなにかを
つくりだすことはできない。いまここにあるもの
は、以前にあったものになんらの変形を加えた
ものである。この変形はこれをこう変えるとこう
なるだろうという類推する力を使うことで初めて
実現される。ものをつくり出すのにもっとも必要
な能力である。


また、だれかとコミュニケートする場合にも
相手が何を考えどのように行動しようとして
いるかを類推し合うことで初めて対話が成立
する。


危機的なことが起ころうとしているとき、この
状況は以前のあの時と似ているという類推が
できれば未然にその危機を防ぐことができる
かもしれない。


このように、現在を生きる人間にとって類推
する力はなくてはならない能力なのである。
学校で学ぶべきことは、教わったことを覚え
ることではなく、大切なのは考え方学び方を
学ぶことである。社会に出たときこれを類推
力を持って使えばいかなることにも応用が
効く。ふと、こんなことを考えた。