内田樹さんの本によると、ネアンデルタール人
と現人類の祖先クロマニヨン人の脳の構造には
大きな違いがあるらしい。前者は、ライオンが
来たから逃げる、獲物が近くにいるから捕まえ
る、といった1対1対応の思考しかできなかった
ものが、後者に至るとこの状況は前に経験した
あのことと似ているからこう行動しようといった
類推的思考ができるようになったらしい。
当たり前のことだが、まったくの無からなにかを
つくりだすことはできない。いまここにあるもの
は、以前にあったものになんらの変形を加えた
ものである。この変形はこれをこう変えるとこう
なるだろうという類推する力を使うことで初めて
実現される。ものをつくり出すのにもっとも必要
な能力である。
また、だれかとコミュニケートする場合にも
相手が何を考えどのように行動しようとして
いるかを類推し合うことで初めて対話が成立
する。
危機的なことが起ころうとしているとき、この
状況は以前のあの時と似ているという類推が
できれば未然にその危機を防ぐことができる
かもしれない。
このように、現在を生きる人間にとって類推
する力はなくてはならない能力なのである。
学校で学ぶべきことは、教わったことを覚え
ることではなく、大切なのは考え方学び方を
学ぶことである。社会に出たときこれを類推
力を持って使えばいかなることにも応用が
効く。ふと、こんなことを考えた。