rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

ピーター・クック


いわずとも知れた、70年代の建築界のスーパースターである。
本棚から久しぶりに80年の「A+U」をとりだしてパラパラ見てみた。
いま見てもエキサイティングなドローイングばかりだ。
しかも、都市計画レベルのものまであり、すべての作品が社会批評的である。
その魅力にひかれて、私の学生時代の課題では、ピーター・クック風の
ドローイングが目立った。


その雑誌に出ている作品はほとんどアンビルドだ。
よく若い頃、年配の建築家にそんなマスターベーションみたいなことを
していてもだめだよ、と言われた。
クライアントや敷地条件等の与条件を満たしていくデザインをしていれば
いい訳ではない。
アンビルドなものを夢想し、理念的なことを頭の中で精緻に構築し、
「しっかり」マスターベーションすることを通して与条件に立ち向かう、
このような姿勢がなければ建築を世の中をよりおもしろいものに
していくことができないと思う。


「若者よ、しっかりマスターベーションせよ!!」


90年の大阪花博で、ピーター・クックのフォリーを事務所をシェア
していた友人たちが実施設計を担当していたのでクックとのやりとりを
横で見ていた。また、パーティでお話はできなかったもののご挨拶だけは
させていただいた。お元気だろうか。