rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

橋本治という生き方


いま、橋本治著「乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない」
という本を読んでいる。
最近では、前々著「わからないという方法」を読んだ。
どうやら、「上司は思いつきでものを言う」と三部作に
なっているらしい。
ということで、きのう買っておいた。


●「わからないという方法」は、近代思想は「ものごとには
かならず解答がある。」ということで成り立っている。
世の中はそれを前提に動いているが、それってほんと?と
社会の大前提に疑問を呈した本である。
わからないかもしれないことがあるかもしれないと考えると、
いまを生きていく上で乗り越えられなかった壁が乗り越えられるかも
しれないという希望を与えてくれる。
●「乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない」は、
経済の求めるもの=利潤、という原理で社会的なものごとのやりとりが
行われているが、これってほんと?という疑問を投げかけている本。
仕事というかたちで、社会に関わるとき、市場原理や経済原理に
基づいて組み立てていくというのが常識とされている。
しかし、現実はエコロジーの問題なども見ても簡単に市場原理だけでは
ものごとは動かなくなっている。
昨今の構造計算書偽装問題においても、市場原理至上主義を進めていったが
ゆえに、本当に求められているものは何か必要なものは何かという
本質的なものを見失ってしまうことになる。


この2冊の本を読みながら、世の中を見ていると、
科学、市場原理、経済、といった近代に関わるものが
かなり具体的に疲弊してきていることが分かる。
ようやっと、これからほんとうのポストモダニズムの時代が
訪れるのかもしれない。


橋本治というひとは、東大の学園祭のポスターで一躍有名になった人だ。
学生時代、橋本治の「桃尻娘」シリーズは全部読んだ。
編み物をする橋本治のライフスタイルにも共感を覚えた。
源氏物語」等の口語訳は、おもしろそうだと思いながらも
読んでいないが、今度読んでみたいと思っている。
今回の三部作は、橋本治というひとの行き方・考え方がよ〜く分かる本だ。


橋本治的な生き方から学ぶことは多いと思う。