rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

ハミダシ力


子供のころから、それぞれの人が考えて
いることやイメージしていることは、他人
とは違い、同じようなことをいっていても
見えているものや考えていることが一致
することなどないと思っていた。


人が考えていること、イメージしていること、
ことばで発したものは、本人と他人の間
にはいくらかのズレがある。本当の意味で
人同士が意味を伝え合うには、そのズレを
「お互い」が補い合わない限り実現しない。


対話というものも同じで、相手が話すこと
のブレ幅を考えながら受け止め、同じよう
にブレ幅を持つことを自分が話していると
いう意識を持って相手に話すことで成立つ。
社会そのものも実は、人々のそれぞれの
こうした相手に立場を意識した「ハミダシ」
を重ね合うことで成立つものだと思う。


このポジティブな「ハミダシ」こそが重要
なのである。これが社会を成立させ、対話
を実現させる。そうした状況が整った社会
は強く、自立した人間を育てるのだと思う。
この時代に生きていて、人々の「ハミダシ
力」の低下が気になる。


ふつう余分なものだと思われているこうした
「ハミダシ力」が自由で幸せな社会をつくる。
みんな、勇気を持って「ハミダシ」合おう。