rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

腹が立つこと


こんな自分でも、ときに無性に腹が立つことが
ある。


相手と立ち位置が異なり、話が平行線を辿り、
噛み合わないことある。そんなとき、こちらが
一歩譲って話の一致点を探ろうとしているの
に、それを察することもなくただ自分の意見
だけを言っている。そんなとき、腹立ちスイッ
チがオンになってしまう。


自分と立ち位置が違う人は、大抵が経済至上
主義やグローバリズムに染まってしまっている
人だ。費用対効果に執拗にこだわる人も苦手
だ。それらの人はみな自分だけが正しいと妄信
しているのも厄介だ。私は自分のこともちゃんと
考えた上で、人のことを考える「利己的利他」
的な考えでこれまで生きてきた。そして、贈与
性もとても重要だと考えている。


経済至上主義やグローバリズムは、究極的に
は他者との関係を断ち自分だけ勝ち進むこと
を中心に考えていく生き方ともいえる。いよいよ
アメリカの一国覇権も終焉を迎えつつあり、経済
至上主義もグローバリズムも衰退を迎えるだろう。
そのとき、人々はどういう方向で生きていくかを
考える必要にそろそろ迫られている。


世の中は、これから地域主義に向かっていく
だろう。そのとき、経済至上主義やグローバリ
ズムが残した分断された関係が大きな弊害を
もたらすだろう。利己的利他的な考えや贈与
性はより重要なものとなっていくだろう。それ
ぞれの人が少しだけ社会とかかわるための
触手を社会に提供し合うことで、新しい関係
性を生み出していく。それらを重ね合うことで、
旧来からあった地縁的なものとは異なる新しい
関係を生み出していくことができればと思う。


それなのに、未だ多くの人たちは、経済至上
主義とグローバリズムのとりこのままである。
その「バカの壁」にそろそろ気付いたほうがいい。
これからは仕事を通して、利己的利他的な考え
方や贈与性を実践していくことで社会を再編
していく必要がある。


他者の視線に対する想像力をみんなが相互に
持ち合い、重ね合うことが求められる。現在なさ
れている教育はそれと反対方向に向かっている。
まず、そこから変えていかなければいけない。


話を戻すと、腹が立つときは自分な中にある
自分が厭で排除したいのに取り除けないもの
を相手の中に見出だす時だと言えるかもしれ
ない。まったく取り付く島のない人間には腹
は立たない。類似性を持つ相手にこそ腹を
立てている。自分の考えと異なる内なる反対
意思が自らを腹立たせているのだ。


数日前にあった出来事に触発されて、自戒を
込めてこんなことを考えた。