rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

数値化から漏れだすもの


今の世の中は、周囲のあらゆるものを数値化
して優劣を付ける方向に向っている。


偏差値などのその最たるもの。学校を分かり
やすく序列化して人々をより高い数値を目指
すよう仕向けている。


数値化を突き詰めていくと、おそらくグローバ
リズムに行きつくのだろう。


数値化は近代以降、人々を貴族的な見えない
価値から解放し平等をもたらすために導入さ
れた。こうしたいい面もある数値化なのだが、
それが行き過ぎると逆に格差を生み出すこと
が昨今証明されている。


民主主義も多数決という数値化に寄って平等
が保たれている。人数の多い方の意見がただ
採用されると考えられがちだが、人数の少な
い方の人々が人数の多い人たちの意見を受
け入れるということも含めてでの民主主義だ
ということを忘れてはいけない。


数値化は確かに、人々に平等をもたらす道具
であることは間違いない。数値化することに
よってそこから洩れ出すものをも考慮しつつ
平等を担保する考え方をする必要がある。


また、極端に数値化する仕組みが浸透する
ことによって、じっくり自分の頭で考え自らで
行動するということがないがしろにされている
ように思えてならない。


数値化から漏れだすものに光を当て、深く思考
する生き方を取り戻さなければ、この世の中は
変になってしまう。自戒を込めてこんなことを
考えた。