rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

制度化は制度化されたものを無化する


世の中では、制度化やマニュアル化が恐る
べき速さで進行している。


それらは、勉学や業務を合理的に無駄なく
学びチェックするためのものである。だが、
実際の社会では制度化やマニュアル化で
そこでよりよくしようとしていたものが、より
悪くなるという現象が生じている。


まずは、ゆとり教育。本来は授業時間を少
なくして、生徒に時間的余裕を与え、社会
との関わりや自然と触れ合い、広範囲に世
の中のことを学ぼうというとてもいい制度だ
った。しかし、それがまったく裏目に出て
自分のあたまで考えない、社会を広範囲に
捉えられない生徒を生み出してしまった。


昨今の大学教育でも、建築でいえば建築を
考える方法論を教えることによって、方法
論の知識は増えたかもしれないが、自分で
外界を分析して、自らのあたまで考えどう
つくっていくかを生み出していく力を奪って
しまっている。


教育のグローバル化についても自分はとて
も危惧している。グローバル化を制度化す
ることによって、自立した個人として世界
と関わっていくという本来のグローバルな
思考が無化されてしまわなければいいがと
考えている。おそらく、グローバルな精神は
失われてしまうのではないかと思う。


ものごとを制度化する時にはじっくり時間
をかけて、それがいい結果をもたらすかど
うか、よ〜く考えなければいけない。