rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

知らないことを知らないこと


自分はいつまでたっても知識欲が絶えない。暇な時間があれば、本を読み続ける。いろいろな分野に興味があるが、ある本を読めばそれに関連する本を次に読む。また、気持ちを変えてまったく違う分野の本を読むこともある。

 

いつも思うことだが、いろいろな知識を仕入れるたびに、ある限られた分野の知らないことは少しは減少する。ある分野のことに詳しくなると知っていることは増える。知ることができた分野外のことに関しては、知っていることが増えると同時に知らないことも増える。いつまでたっても終わりが見えない世界である。

 

知っていることを増やすことは、さらに新しい知らないことを増やす。知識欲とは、自分がなにを知っていて、なにを知らないかを明確にすることである。このなにを知らないかを理解していることこそ重要で、これからのさらなる学びに繋がる。

 

知識欲を持たない人は、自分がなにを知っているのか、なにを知らないかについて興味を持たない。なにを知らないかについて分かっていないということは、自分がなにを分かっているかも分からず、これから何を学べばいいかも理解できない。発展のしようがない状態に置かれていることを意味する。

 

自分がいまなにを知っていて、なにを知らないかを分かっていることこそ、学びを継続することである。分別があるとはそういうことである。知らないことを知らないという発展の可能性のない状況に自らを置かないことこそ、自立した人間になるための第一歩であるともいえる。